花の詩女 ゴティックメード

意外と単独作品としても評価できる真っ当な作品。でもFSS読んだことない人向けではないよね。

今どきパッケージ化も配信もされておらず、映画館でしか観られないというFSSの永野護監督作品。存在自体は知っていたが観る機会がなかったのだが、偶然リバイバル上映を知って観てきた。FSSはGMになる13巻まで読んだ気がする。

まあどうせわけわかんないだろうと思っていると話はかなりわかりやすい。基本的にはボーイミーツガールのロードムービーであり、ほとんどがこの2人の会話だけで終始する。会話自体も非常に丁寧に作られている。リアリティよりも詩的であるというかまあFSSである。

一方でMH...もといGMによるバトルを期待した人にとっては肩透かしかもしれない。通常70分もあれば2回くらいはバトルシーンが入るものだけど、本作では1回しかない。それも勿体ぶった起動までのシーンで半分くらい使ってしまう。通常の映画であればあり得ないだろう。

しかしこれはやっぱりFSSなのだといえば納得がいく。FSS1巻がそうだったように真打のMHが出るまでの積み上げこそが全てであり、MHが出た瞬間にその美しさと強さで一瞬で圧倒してしまう。これこそがFSSらしさなのだと思う。

なんといっても動くGMはここでしか観られない。正直小さい頃は大型人型ロボットもの好きだったのだけれど、今はすっかりカッコいいと思わなくなってしまった。そんな自分でもFSSのMHとGMは美しいと思う。GMは賛否両論あると思うけど、自分はこれはこれでMHとは別の美しさがあると思う。

都に到着した後のナニコレ的な展開も、GMに乗って戦うということが、通常の人間には行えないことであるという前提に立ってみると、2人の非人間のバランスという意味では納得のいく最後だと思う。

まあここまでは初見でもついていける真っ当なロードムービーと取ることもできるけど、その後の展開については良くも悪くもFSSという感じ。単行本でも毎回こんな感じだよね..